20代の頃、豊かさとは何だろうと考え、沢山の本を読みました。沢山の活動家や表現者に会いにも行きました。
自然農の田んぼ作りを実践するよりも数年前の話です。
そういった中で松井浄蓮さんに関する本「終わりより始まる」に出会いました。
終戦後の日本、麦の家を舞台に表現される「思想と暮らし」に共感を覚えた人たちが集まり研鑽をする学びと実践の場の記録です。
それを読み、兎にも角にも実践してみよう、地面に這いつくばってみようと決心したことを覚えています。
近代的合理主義に立脚している自分自身を見つめ直すには、真逆のことをすれば良いと思いました。道具は鍬とスコップそして鎌だけあれば良い。
しかし、これまで稲作なんてしたことがありません。
親も親族も田んぼはしておりませんでした。
農薬も機械も使わない田んぼ作業。
一般的には自然農と呼ばれていると知り、
片っ端からネットを検索し、図書館にある関連書籍を全て読み、
近場で勉強会が開催されるとなったら足を運んでいました。
自然農は、場所によって、作業者によって、変わってくるものなので、
生命体のようなものだと思います。
それこそがまさに自然なるものではないかと思うのです。
ぼくは14年前、耕作放棄地を借りて、機械なし・農薬なしの米作りを始めました。
茅が3mに伸びて獣道で畦が崩れた荒地からです。
この連載で書くのは、基盤整備されていない、昔ながらの田んぼの話です。
基盤整備された四角い田んぼを再生する場合は、状況が変わってきます。
それでも、状況に合わせて手入れするのが自然農です。あなたの田に読み替えて使ってください。
その全部を、ブログに書き残してきました。数えたら1,359記事ありました。
畝幅4m、スコップの高さ分掘る、1時間で1畝——実寸が残っています。
干からびた年も、獣に食われた年も、そのまま書いてあります。
この記録を工程順の「実用書」に編み直して、ここで連載していきます。
連載が一巡したら、一冊のKindleにまとめる予定です。
連載の目次
各章を公開したら、ここにリンクを足していきます。
執筆を進めることで章題が変わることもあります。
・序章: 自然農とは何か
・第1章 田を探す——自分が大切にしたいもの
・第2章 開墾——耕作放棄地の再生
・第3章 水——関係性の経糸と緯糸
・第4章 獣害——対策と受容
・第5章 種籾——いのちをつなぐ
・第6章 苗——赤子のように手をかける
・第7章 田植え——感謝の一本植え
・第8章 草——虫の住処
・第9章 見守る——出穂から刈り時まで
・第10章 稲刈り——恵をいただく
・第11章 稲架掛け——お天道さんに乾かしてもらう
・第12章 脱穀・籾摺り・保存——最後の一仕事
・第13章 しまう・還す——いのちの循環
・第14章 食——いのちをいただく
・終章: 14年の定点観測——これからの自然農。気候変動と陸稲の可能性
各章の型
どの章も、同じ流れで書きます。
・やり方(時期・道具・段取り)
・14年分の失敗と対策
・章末に、短いコラム
うまくいった話だけを書くつもりはありません。
2016年の収量は160kg。「この収量で良いとは思わない。しかし、これで良い」と当時のぼくは書いています。
2021年は30kg袋で50袋=1,500kg。
2025年は渇水で「一年分は無理かもしれない」。実際に無理でした。
ぼくの失敗も糧にして、理想の田んぼを作ってください。
第1回は「開墾——耕作放棄地の再生」から始めます。
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